今日はゾウリムシの培養実験をした結果について報告するよ!
ゾウリムシってメダカの赤ちゃんや熱帯魚の赤ちゃんの餌になるんだよね?自分で増やせたら便利だろうなあ
実は簡単に増やせちゃうんだよ、でも、色々な情報が多くてどの培養液を使えばいいか分からないことも多いから、まとめるね!
この記事を読んだらもうゾウリムシの培養には困らない!ってくらいになると信じてるよ!
すごく強気・・・期待してる!
背景
近年、メダカブームに伴いメダカの生まれたての針子に餌として与えているケースも多いです。そのゾウリムシは90μmと非常に小さため魚の稚魚の餌に最適です。
まずはゾウリムシとは何か、説明します。ゾウリムシとは、水田や沼、池などの止水域に分布する単細胞生物のことです。
細胞の表面には約3500本もの繊毛をもち、その繊毛を使って移動ヒョイヒョイと移動することができます。単細胞生物の中では比較的移動速度が大きいのが特徴です。このゾウリムシ、実はメダカの餌だけでなくあらゆる淡水魚の稚魚の餌としても大変有用なんです。
生殖方法は分裂によって行われます。つまり単体でも増えることが出来るのです。それだけではなく、有性生殖も行うことも可能です。有性生殖を行なう際は細胞同士の接合を行ないます。
また、ゾウリムシは浸透による栄養摂取ではなく捕食して栄養を補うため、菌を餌として用います。ゾウリムシの培養は比較的簡単とされており、上手く行えば長期間維持する事が可能です。
本実験では、ゾウリムシを培養する際の培養液を複数用意し、どの培養液が一番高効率か実験、検討を行いましたので報告します。
実験環境および実験方法
実験環境
- 培養場所:室内(直射日光の当たらない場所)
- 温度:10℃~18℃
- かくはんの有無:1日2回(朝晩)
- 実験期間:1週間
培養液
- 米のとぎ汁
- 濃いお茶(緑茶)
- 米のとぎ汁×濃いお茶(各50%)
- ジャスミン茶
実験方法
実験方法はいたって簡単です。2Lペットボトル容器に1ℓのカルキを抜いた水を入れます。その後各容器に各培養液を100mℓずつ入れ混ぜます。こうして10倍希釈液を作成します。
そして各容器にゾウリムシが入った種水を80mℓずつ入れます。
ゾウリムシは重力に逆らって泳ぐ習性があります。不思議です。この特性のせいで上澄みに非常に多くのゾウリムシが集まるため、上澄みだけを掬うと密度にバラつきが出てしまいます。そのため種水を5回振って中間層から採集しました。
そうして出来た培養キットを室内で日が当たらない場所に置き、経過観察を行います。
なお、条件を同じにするために置く場所は全て同じにしました。
そして毎日朝晩容器を5回振りゾウリムシを拡散させます。
今回は顕微鏡を準備できなかったため目視およびマクロレンズを用いて増減の有無を確認しました。
実験結果
下図にゾウリムシの培養実験の結果に関する図を示します。
この図では、一番培養率が高かった米のとぎ汁での結果を10として相対的に評価しています。10段階評価のようなイメージで結構です。
結果、米のとぎ汁が一番ゾウリムシの増加に寄与することがわかりました。その次に米のとぎ汁とお茶の混合液、ジャスミン茶、お茶単体と続きます。
次に写真を載せます。
左がとぎ汁(実験後薄めたため少し透明になっている)で右がとぎ汁とお茶の混合液です。混合液の方はあまり見えないですがまずまずといったところです。やはり米のとぎ汁が圧倒的に多いです。秋の室温でこれなので、適温である25℃くらいだともっと多く培養できると思います。
そして
これらが濃いお茶とジャスミン茶です。
左が濃いお茶、右がジャスミン茶です。見てわかるようにジャスミン茶の方が増えています。濃いお茶の方は点々と確認できる程度であまり増えていません。現状維持か少し増えたな程度です。
意外にもジャスミン茶が3位と素晴らしい結果になりました。少し値は張りますが、臭くないため管理はしやすかった印象があります。
考察
やはり、米のとぎ汁の正体であるヌカに含まれる乳酸菌や各種栄養分がゾウリムシの成長と増殖に貢献していると考えられます。2番目のお茶ととぎ汁の混合液はとぎ汁のおかげだと考えられます。
お茶は濃いお茶という商品名のお茶を使いました。これはカテキン成分が非常に多いためあまり増えなかったのではないかと考えられます。
一方ジャスミン茶は茶葉に含まれる酵素だけでなくジャスミンの花にある成分も作用しているのではないかと考えられます。そのため濃いお茶よりも培養率が高かったのではないかと考えられます。
今後の課題
今回の実験では様々な培養液を用いたゾウリムシ培養実験を行いました。結果、米のとぎ汁が一番ゾウリムシが増えたのですが、とても臭いです。
発酵している匂いのような独特なにおいが充満してしまうため室内ではあまりお勧めはできません。そのため、とぎ汁単体ではなくお茶と混合して使うことで臭いの軽減に繋がると考えます。
次回は顕微鏡等のより高精度な器具を用いて実験を行うだけでなく、錠剤等を用いた実験も行っていきたいです。